国家賠償法2条の「設置又は管理の瑕疵」とは?通常有すべき安全性を解説

国家賠償法2条の「設置又は管理の瑕疵」とは

条文上の意味

国家賠償法2条1項は、道路・河川その他の公の営造物に設置または管理の瑕疵があり、そのために他人へ損害が生じたとき、国または公共団体が賠償責任を負うと定めています。

ここでいう瑕疵とは、担当者に故意や過失があったことではありません。営造物が通常有すべき安全性を欠いている状態を指します。

また、損害の原因について責任を負うべき者が別にいるときは、国または公共団体は、その者に対して求償権を有します(国家賠償法2条2項)。

「公の営造物」に含まれるもの

公の営造物とは、国や公共団体が公の目的に供している有体物です。道路や建物などの不動産だけでなく、動産も含まれます。また、人工的に造られた施設に限らず河川などの自然公物も対象となり得ます。私人が所有する物であっても、公の目的に使われていれば該当する場合があります。

管理者の過失がなくても責任を負う

国家賠償法2条1項の責任は、管理者の過失を必要としません。そのため、担当者に落ち度がなかったというだけでは、営造物に瑕疵があり、それによって損害が生じた場合の責任を免れられません。ただし、通常有すべき安全性を備えていれば、瑕疵は認められません。

通常有すべき安全性はどのように判断されるか

施設の性質や利用状況などを総合的に判断する

通常有すべき安全性とは、どのような事故も防げる完全な安全性ではありません。施設の構造、用法、設置場所の環境、実際の利用状況などを、事故ごとに具体的に総合して検討します。事故が起きたという結果だけでなく、施設が通常期待される安全性を備えていたかが重要です。

本来の用法による利用と異常な利用を区別する

管理者は、営造物が本来予定された方法で安全に利用できるようにする責任を負います。一方、本来の用法に従えば安全な営造物を、設置管理者が通常予測できない異常な方法で使用した場合、その使用についての注意義務は、原則として利用者側が負います。

法律上の管理権がなくても責任が問題となることがある

瑕疵の判断では、法律上の管理権限を持つかどうかだけでなく、実際に施設を管理していたかも考慮されます。形式的な管理権者でなくても、事実上の管理を行っていた主体について責任が問題となることがあります。

物理的な欠陥がなくても「瑕疵」とされる場合

供用方法によって危険が生じる場合

施設自体に物理的な欠陥がなくても、利用方法や供用のさせ方によって危険が生じることがあります。必要な制限を加えないまま使用させ、利用者や周辺の第三者に損害が生じた場合、設置または管理の瑕疵が認められることがあります。

もっとも、管理者が予測できない事情による損害まで責任を負うわけではありません。

時間的・財政的な制約が考慮される場合

道路上に危険が発生しても、事故までの時間が短く、管理者が撤去や警告などの措置を取れなかった場合は、瑕疵が否定されることがあります。反対に、危険な状態を長時間放置し、巡視・警告・通行制限を怠っていた場合は、瑕疵が認められ得ます。

道路では、予算が不足していることだけを理由に責任を免れることはできません。一方、河川などの自然公物では、改修状況や災害の予測可能性に加え、河川管理の特質に由来する財政的・技術的・社会的制約などを含めて判断されます。

「設置又は管理の瑕疵」を判断するポイント

  • 施設が通常有すべき安全性を欠いていたか
  • 構造・用法・場所・利用状況から安全性を判断できるか
  • 本来の用法か、設置管理者が通常予測できない異常な利用か
  • 警告、修繕、巡視、利用制限などが行われていたか
  • 危険の発生後、対策を講じる時間があったか
  • 利用者だけでなく、周辺の第三者にも危険が及んでいたか

このように、設置又は管理の瑕疵とは、単なる管理者のミスではなく、公の営造物が通常有すべき安全性を欠いた状態を意味します。