民法では、住所を法律関係の基準となる重要な概念として定めています。ここでは、民法上の住所の意味、本籍・居所との違い、住所が明らかでない場合の扱いを解説します。
民法上の住所とは「生活の本拠」のこと
民法22条が定める住所の意味
民法22条は、「各人の生活の本拠をその者の住所とする」と定めています。生活の本拠とは、一般的な生活または全生活の中心となる場所です。
住所が法律上の基準になる場面
住所は、次のような法律関係を決める際の基準になります。
- 裁判管轄
- 債務の履行地
- 相続の開始場所
- 不在者や失踪に関する法律関係
このように、住所は法律関係において重要な意味を持ちます。
住所は複数認められるのか
住所を一つに限るのか、複数認めるのかについては議論があります。判例は、選挙権に関する住所について、「その人の生活にもっとも関係の深い一般的生活、全生活の中心」を住所とする考え方を示しました。ただし、この判例が住所の複数性について一般的な結論を明確に示したものではありません。
住所と本籍・居所はどう違うのか
本籍との違い
本籍とは、戸籍の所在場所です。一方、住所は生活の本拠を指します。両者は別の概念です。
居所との違い
居所とは、継続して住んでいるものの、生活の本拠とまではいえない場所です。住所が明らかでない場合には、居所が住所とみなされることがあります。
住所が明らかでない場合は居所を住所とみなす
民法23条1項は、住所が明らかでないとき、居所を住所とみなすと定めています。
日本に住所がない場合は日本の居所を住所とみなす
日本に住所を有しない人は、日本人か外国人かを問わず、原則として日本における居所を住所とみなします。ただし、法の適用に関する通則法などにより、外国におけるその人の住所地の法律によると定められている場合は、この扱いは適用されません。
特定の行為では「仮住所」が住所として扱われる
民法24条では、ある行為について仮住所を選んだ場合、その行為に関しては、仮住所を住所とみなします。
たとえば、福岡に住所を有する商人Aが、Bとの取引において東京の新宿を仮住所とした場合、その取引については、東京の新宿が住所とみなされます。
まとめ
- 民法上の住所は、その人の「生活の本拠」である
- 本籍は戸籍の所在場所であり、住所とは異なる
- 居所は、継続して住んでいるものの生活の本拠とはいえない場所である
- 住所が明らかでない場合は、居所が住所とみなされる
- 日本に住所がない場合も、原則として日本の居所が住所とみなされる
- 仮住所は、指定した行為に限って住所として扱われる
