電気・ガス・水道のための設備設置権とは?民法の相隣関係を解説

電気・ガス・水道などを利用するためには、自分の土地だけでなく、他の土地に配管や電線などを設置したり、他人が所有する既存の設備を使ったりする必要が生じることがあります。民法213条の2は、このような継続的給付を受けるための設備設置権等を定めています。

継続的給付を受けるための設備設置権とは

電気・ガス・水道などを受けるための権利

継続的給付とは、電気、ガス、水道水など、継続して供給されるものや、これらに類する給付をいいます。他の土地に設備を設置したり、他人が所有する設備を使用したりしなければ継続的給付を受けられない場合、必要な範囲で、その土地や設備を利用できます。

たとえば、水道を引くため、他の土地を通して給水管を設置しなければならないケースです。この場合でも、認められるのは継続的給付を受けるために必要な範囲に限られます。

設備を設置できる場合と他人の設備を使える場合

制度の対象となるのは、次のような場合です。

  • 他の土地に設備を設置しなければ、継続的給付を受けられない場合
  • 他人が所有する設備を使用しなければ、継続的給付を受けられない場合

自分で給水管などを設置する場合と、他人の既存設備を利用する場合では、損害や費用の負担が異なります。

設備設置権等を行使する際の条件と負担

場所や方法は他の土地への損害が最も少ないものを選ぶ

設備の設置場所や方法は、他の土地や他人の設備に与える損害が最も少ないものを選ばなければなりません。必要性があるからといって、利用者が自由に経路や工事方法を決められるわけではありません。

事前の通知と設置のための土地の使用

原則として、設備を設置・使用する前に、その目的、場所、方法を他の土地の所有者や、他の土地を現に使用している者へ通知します。設備を設置するため、他の土地や、他人が所有する設備がある土地を使用することもできます。

この場合、隣地使用権のルールが準用されます。住家に立ち入るには居住者の承諾が必要であり、損害が最も少ない日時・場所・方法を選ばなければなりません。事前通知が難しいときは、使用後、遅滞なく通知することも認められます。

償金と設備の維持費を負担する

他人の土地に設備を設置した場合、その土地に生じた損害について償金を支払います。償金は1年ごとに支払うこともできます。

他人が所有する設備を使う場合も、使用開始によって生じた損害について償金が必要です。さらに、設備の設置、改築、修繕、維持にかかる費用を、受ける利益の割合に応じて負担します。したがって、設備を利用できることと、無償で利用できることは別です。

土地の分割などで継続的給付が必要になった場合の特則

土地の分割によって、他の土地に設備を設置しなければ継続的給付を受けられない土地が生じた場合、その土地の所有者は、他の分割者の所有地に限って設備を設置できます。この場合、償金を支払う必要はありません。土地の一部を譲り渡した場合も同様です。

つまり、通常は必要な土地を利用できる代わりに損害への償金が必要ですが、土地の分割や一部譲渡が原因の場合は、利用できる土地が限定される一方、償金は不要となります。

まとめ:設備設置権等は継続的給付に必要な範囲で認められる

  • 電気・ガス・水道などの供給に必要なら、他人の土地や設備を利用できる
  • 場所や方法は、他の土地や設備への損害が最も少ないものを選ぶ
  • 原則として事前通知が必要で、損害には償金を支払う
  • 他人の設備を使う場合は、維持・修繕費なども利益に応じて負担する
  • 土地の分割や一部譲渡による場合は、利用範囲が限定され、償金は不要となる