契約には、当事者の合意だけで成立する「諾成契約」と、合意に加えて目的物の引渡しが必要な「要物契約」があります。両者の違いは、契約成立のために合意以外の行為が必要かどうかです。
諾成契約と要物契約の違いは「合意だけで成立するか」
諾成契約は当事者の合意だけで成立する
諾成契約とは、契約内容について一方の申込みと相手方の承諾が一致すれば成立する契約です。法律に特別な定めがない限り、契約書の作成や目的物の引渡しは成立条件ではありません。
民法上の契約の多くは諾成契約で、売買契約、贈与契約、賃貸借契約などが代表例です。
要物契約は合意に加えて目的物の引渡しが必要
要物契約は、当事者が合意しただけでは成立せず、契約の対象となる物が実際に引き渡されることも必要な契約です。したがって、引渡しが終わるまでは、原則として契約自体が成立していません。代表例は、消費貸借契約です。
| 項目 | 諾成契約 | 要物契約 |
|---|---|---|
| 成立要件 | 当事者の合意 | 合意と目的物の引渡し |
| 引渡し前 | 原則として契約成立 | 原則として契約未成立 |
| 代表例 | 売買、贈与、賃貸借など | 消費貸借 |
諾成契約の具体例
主な諾成契約
- 贈与契約
- 売買契約
- 交換契約
- 使用貸借契約
- 賃貸借契約
- 雇用契約
- 請負契約
- 委任契約
- 寄託契約
- 組合契約
- 終身定期金契約
- 和解契約
- 書面でする消費貸借契約
契約は、法令に特別な定めがない限り、書面の作成など特別な方式を備えなくても成立します。
要物契約の具体例|消費貸借は原則として引渡しが必要
消費貸借契約は原則として要物契約
消費貸借契約は、合意に加えて目的物の引渡しによって成立する要物契約です。民法が規定する典型契約のうち、原則として要物契約とされるものは消費貸借です。
書面による消費貸借は諾成契約になる
ただし、消費貸借でも書面でする場合は、目的物の引渡しがなくても合意によって成立します。つまり、消費貸借には次の違いがあります。
- 消費貸借:原則として要物契約
- 書面でする消費貸借:諾成契約
「消費貸借は常に要物契約」と考えないことが重要です。
諾成契約と要物契約の違いを具体例で整理
成立時点が異なる
諾成契約は、申込みと承諾が一致した時点で成立します。一方、要物契約は、合意に加えて目的物の引渡しが完了した時点で成立します。
見分けるときは、まず合意だけで成立する契約かを確認しましょう。民法上の契約の多くは諾成契約で、要物契約の代表例は消費貸借です。ただし、書面でする消費貸借は諾成契約となります。
まとめ
- 諾成契約は、当事者の合意だけで成立する。
- 要物契約は、合意に加えて目的物の引渡しが必要である。
- 消費貸借は原則として要物契約だが、書面でする消費貸借は諾成契約である。
