請負契約は、請負人が仕事を完成させ、注文者がその結果に対して報酬を支払う契約です(民法632条)。仕事の完成が契約の重要な目的であるため、完成前であれば、注文者は一定の条件のもとで契約を解除できます。
請負契約は、仕事の完成前なら注文者から解除できる
請負契約とは
請負契約では、請負人が約束した仕事を完成させる義務を負い、注文者はその仕事の結果に対して報酬を支払います。たとえば、店舗の内装工事を依頼した場合、内装を完成させることが請負人の仕事です。
注文者は仕事の完成前であればいつでも解除できる
民法641条は、請負人が仕事を完成しない間、注文者はいつでも請負契約を解除できると定めています。注文者側に解除理由があるか、請負人に契約違反があるかは、この解除の要件ではありません。
たとえば、内装工事の途中で店舗の出店計画を変更した場合、注文者は工事を続ける必要がなくなったことを理由に契約を解除できます。ただし、「いつでも解除できる」とは、費用を負担せずに契約を打ち切れるという意味ではありません。
仕事完成前に解除すると、注文者は損害賠償責任を負う
解除によって請負人に生じた損害を賠償する
注文者が仕事の完成前に一方的に解除すると、解除によって請負人に生じた損害を賠償しなければなりません。したがって、次の2点は分けて考える必要があります。
- 解除できるか:仕事の完成前であれば、原則として解除できる
- 損害賠償が必要か:解除によって請負人に損害が生じれば、賠償が必要になる
「仕事の完成前」であることに注意する
民法641条による解除が認められるのは、請負人が仕事を完成していない間です。すでに完成した後は、この規定による「完成前の解除」はできません。
完成後の仕事が契約内容に適合していない場合は、契約不適合責任に基づく追完、報酬減額、損害賠償、解除など、別の制度が問題になります。
解除時には、完成していない部分の報酬も問題になる
注文者が利益を受ける可分な部分があれば、その割合の報酬を支払う
仕事が未完成でも、すでに行われた作業の一部を分けて評価でき、その部分によって注文者が利益を受けることがあります。この場合、その部分を完成した仕事とみなし、請負人は注文者が受ける利益の割合に応じた報酬を請求できます(民法634条)。
つまり、契約が完成前に解除されたからといって、報酬が必ずゼロになるわけではありません。
報酬請求と損害賠償は別に整理する
注文者が受ける利益に対応する報酬と、解除によって請負人に発生した損害の賠償は、別の問題です。また、注文者側の事情によって仕事が完成しなくなった場合には、民法536条2項により、請負人が報酬全額を請求できることもあります。具体的な金額は、注文者が受ける利益の有無・割合や、完成しなかった原因によって変わります。
まとめ
- 注文者は、仕事の完成前であれば、民法641条により原則としていつでも請負契約を解除できる
- ただし、解除によって請負人に生じた損害は賠償しなければならない
- 未完成でも、注文者が利益を受ける可分な部分には、割合に応じた報酬が発生することがある
- 「解除できること」と「損害賠償や報酬の支払いが不要であること」は別である
